Talking over with you, the wise.

エンジンプラス10周年を記念し、
これまでお世話になった「広告界の賢人」に弊社スタッフがお話を伺って参りました。

エンジングループとの関わりのお話はつきないので、少し割愛させていただきます。
さてインタビューは、SONARの立ち上げの頃のお話や、ずばりアカウントプランニングの要諦などについて、話が弾んでいきます!

祇園のお茶会は8年。ソニーミュージックは10年


EP2:
このインタビュ一の趣旨の一つとして、三十代真中ぐらいまでの第二新卒とか中途転職考えている人とか、そういう人たちにも読んでもらいたいと思ってるんですけど。当時って、岡﨑さんって、自分のお仕事というか、どういうふうに捉えてましたか。いつ頃SONAR創って、俺は独立してやっていくんだという気持ちに?
岡﨑:
SONAR創ったのは36ですよ。電通に入ったのは24で。歳男の年というのは何か強烈なことがあるんだなと勝手に思っているとこあって。次の36のときにも何かあるんじゃないかと思ってたんですよ。そしたら、流れで歳男の年の元旦は、元旦というかその前の年末ギリギリまでですよ、オオカワイサオさん(注11)の横にいるわけですよ。
そこでサラリーマンということより、こういうふうな仕事のスタイルのほうが面白いなというのを明らかに刷り込まれましたね。自分たちがちゃんとクライアントと仲良くなっていっちゃって、経営するということが面白いなと。社長は面白いけど副社長はつまんないとかいうこともよくわかったし。そういうことがわかったので、もうそのときに辞めようと思ったかな。そのオオカワさんとやった仕事が自分でサラリーマンを辞めようと思うきっかけの1つですよね。
EP2:
どれくらいやってたんですか?
岡﨑:
何処を?
EP2:
オオカワさんと。
岡﨑:
セガの仕事?
EP2:
はい。
岡﨑:
3週間ですよ。3週間だけです。
EP2:
3週間だけ??そうなんですか。
岡﨑:
だって急に、プレゼンだっていわれて。プレゼンに行ったのは12月の第1週だったと思うんですけど…オリエン行って、コンペ。博報堂側は役員ずらーっと並べて。こっちはオカさんとカワグチさん(注12)と僕なんです。で、プレゼンで、新聞十五段が全部天声人語みたいなのでうまってるようなやつを出したときに、オオカワさんが「これや。」と言って、「決まった。」と。「じゃあ岡﨑、あとは書いといて」。そういうことですよね(笑)。「俺が書くんですか?」
でもそのときにもうなんかね、いわゆる今で言えばタグボート2の構想をオカさんが持っていた。と思う。タグボード2を俺にやらせようとしてるかなと。だけど、俺はなんかそういう風になっちゃうの嫌だなと思ったし。
EP2:
うんうん。
岡﨑:
あの。さっき言ってた分析をしてインサイト、うーん、インサイトというとあれか。平たく言えばテコになるような「ある発見」を見つけることなんですけど。
EP2:
それ常に言ってたのを覚えています。
岡﨑:
そのテコを使って、やり方はどうあれ、その時代をラジカルに変えてしまうという、そのなんかこう…愚直にやっていることを端からせせら笑ってしまうような、不届きなことが好きでしょうがないんでしょうね、きっと。
EP2:
なるほど。
岡﨑:
その中でも表向きは華やかなお祭りなのに、裏で違うことが解決されているという虚業の…ダイナミズムというのは電通の本業だと思ってて。そういうことする会社とかはたぶん世界でなかったんだ、80年代当時。そのあとBBH(注13)やってても、こんなことやってたのは日本の電通しかないって、僕が当時を振り返って説明すると、イギリスの奴らがこう言ってましたから。世代的にはその血を受けていて、でも僕らは90年代以降POSとかアカウンタビリティーとか、数字で評価されたりデータが豊富になってきた。経営者の一存で何かやることじゃなくて、いわゆる指標がある中での答えを出してる仕事に巻き込まれ始めてる時期だったんで、その両方を結び付けるようなことっていうのが僕の本流なんでしょう。
EP2:
いや、その印象はすごい強いです。
岡﨑:
アカウントプランナーという職種も、やりたかったわけじゃなくて、クリエイティブのオダギリさん(注14)にやれって言われた。クリエイティブディレクターを戦略に逃げ込ませるなということをオダキリさんも言ってたんですね。「表面の飛び」がクリエイティブの仕事であって、ビジネス解決の戦略作りは、違う奴がするべきだと。表現を飛ばせというのがオダギリさんのアイデアだったんですね。
これはグローバルでもそうです。この時期のことをBBHのイギリス人の役員に聞いても「まあ、そうだね」って。だから時々クリエイティブディレクターとアカウントプランナーを兼業してるやつとかがいるんだけど、それは思想的にはおかしいんだ。
ただしこっち側にも、クリエイティブを追い込まなきゃいけないというか、下手するとこいつが絵描いちゃってクリの出番がなくなりそうだ、というそういう迫力がなきゃ駄目だし。最終形の表現がどうなるかある程度こっちで空想して、そこから巻き戻してクリエイティブを発射台にあげるということをやらなきゃいけないから、そういう意味で常に左脳のビジネスっぽい解決法と、右脳の飛ぶ部分というのを跨いでいるというのが、さっき言われたことで。
EP2:
そうですね。
岡﨑:
これはずーっと今でもそうなんですよね。普通多分、クリエーティブ部門の奴らってキャンバス与えてもらうと喜んじゃうという癖がある。枠をあげるよと言うと描いちゃうんですよね。
そこが僕はちょっと違うんで。たとえば、同じ企画が数年続かないと成功したと見なさないというのがあるんですよ。うちでは。祇園のお茶会(注15)は8年。ソニーミュージックは10年。仕掛けとして回ってて、それで何か動かないと解決したと見なせないという感覚があって。
賞とかなんとかって、その業界のわりとこう貢献したものとして評価されたりする部分がありますでしょ。でも例えば、結局10年前の広告見ても風化するじゃないですか。結局打ち上げ花火。とりあえず儲かっちゃった企業がお金の使い方に困って、何かこうふうにやるかみたいなことになったときにいくらシャレたことやっても、あんまり俺はそれは好きじゃないんですよね。地味でもいい。
EP2:
形に残るもの…
岡﨑:
そうですね。でも、もう90年代からずーっとそう思ってたんです。だから変わらない。ただねえ、あとなんか同じことやるのは嫌でね。
EP2:
飽きるって感じですか?
岡﨑:
そうですね、同じ解決方法を。ここで成功したからフォーマットにして、別にも使うというのは、なんかね。毎回、毎回、テーラーメイドでやってる感じです。
EP1:
それはうちの会社もですね。
岡﨑:
ああ。
EP2:
それ、でもたぶん、すごい影響があるんじゃ。
EP1:
やっぱり同じ…言われたことをやることはできるし、別にでもそれは僕じゃなくてもできるし、いっぱいいると思うし。
岡﨑:
見たこともないこととか、誰もやったことのないことを実現するということには、ものすごいコミュニケーション能力がいる。それで、予測する、想像力、イマジネーションもいるから。そういうことをやろうとしてくれるところが。しかもそれはちゃんと自分事になってやろうとしてくれる魅力がね、エンジンプラスさんの。最大の仲間ですよね、という感じがするけど。
 
インタビュー中に出てくるヨーダ。写真ではややわかりにくいかもしれませんが、ほぼ実寸大。SONARの一番日当りのよい窓際に鎮座ましまして、今日もそのフォースの力をいかんなく…文中にて語られているようにジェダイとして、SONARを象徴しています。


EP1:
アカウントプランナーと聞くと、岡﨑さんがたぶん第一人者の一人で。
岡﨑:
うん、そうですかね。もうなんか、ジェダイみたいなね、絶滅に近い職種だよね 汐留辺りじゃ(笑)。
EP2:
(笑)ジェダイかー。
岡﨑:
それであるんですけどね。(ヨーダを見やる)
EP1:
それを経験した僕らも勉強させていただいて…、
EP2:
いやあ、そうだ。

ここから、ひとしきり、ちょっとここには書けない業界の現状などに関する話が続きまして…
いやあ、書けません!!そのまとめの言葉が次に段落にあると思ってくださいね。

岡﨑:
だから、そうなんだよね。
90年代の初めの、80年代の終わり頃から90年代の頃って、クリエイティブディレクター制というのを導入した頃だった。当時はだからデザインとCMとそうだな、コピーライターはまだいたけど。クリエイティブディレクターという特殊な職業がそこで入ってくるという。コピー年鑑がTCC年鑑に変わったところでしたね、90年代ってまだそういう感じ。

僕は2005年ぐらいにイギリスの会社の中に入って、そこで再確認したというのが大きくて。要するに「あ、これがある種の基準なんだな」と。
それで、どうしてブランドという言葉や、ブランディングということが発明されたのかとか、アカウントプランニングはどうして発明されたのかということをあらためて聞いたんだよね、イギリス人達に。
みんな共通して言うのは、僕らの仕事の価値をもっと上げるためだってね。簡単に言うと「アイミツ」とか取らせないためとかいうのかもしれない(笑)。やってることは今の僕と同じ。「どういうことなんだ、この解決方法は!」という、そのことって、クライアントの社内ではできないことをやって見せるってこと。
で、ビジネスが動いたりするんですよ。で、そのことでより経営者の周辺に近づいていき、向こうの経営にとびこんで懐に入り、で、あわよくば向こう側の社内に採用されたりする。クライアントのいわゆる宣伝とか広告、ブランドのトップであることと、広告業界のトップであることと、それから媒体社のトップであることとが一連のキャリアパスになるような、そういう世界だから、アメリカ、それからイギリスは。
そういうのがあるから、なんとかプランナーというのが作られたりしてるんだっていうのははっきり思い知らされて。ただ、そういう迫力がないんですよね、日本は。
EP2:
それはその通りですね。